パルフェを存分に活用しよう
アメリカの投資銀行とは、企業が上場するさいに、その株式の売買を請け負う引受業務だけでなく、自己勘定で株式やプロジェクトに投資も行なえば、会社買収などのさいにはコンサルタント業務もする金融機関のことだ。
具体名を挙げればゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズ、ベア・スターンズなどがその代表ということになる。
この四社は平均で見ても、二○○六年度の純利益が前期を五割も上回った。
いまや、世界金融経済の「主役」は投資銀行といっても過言ではない(図C)。
ところで、M上世彰が目指したのは「アクティビスト」と呼ばれる「もの言う株主」だっし」くにゴールドマン・サックスの業績の伸びは顕著で、不良債権処理で苦しむ中国工商銀行に投資し、二○○六年十月の上場のさいに九億五○○○万ドルもの利益をあげた。
さらに同年、わずか四カ月の間に、中国市場で四○億ドルもの利益を計上して注目を集めた。
二○○六年の営業収益は、三七六億六五○○万ドルに達している。
同社の中国における基盤を作り上げたのは、同社の会長兼最高経営責任者を務め、現在はアメリカ財務長官のヘンリー・ポールソンだ。
彼はこれまでに中国を七○回以上訪れているという。
右にあげた四つの代表的な投資銀行のうち、ゴールドマン・サックスとベア・スターンズは「ユダヤ系銀行」として知られており、リーマン・ブラザーズも「ユダヤ色の強い銀行」というこし」ができる(「ユダヤ系」と「ユダヤ色の強い」の定義は、S藤唯行『アメリカ・ユダヤ人の経済力』PHP新書による。
他にも、ソロモン・ブラザーズが「ユダヤ系銀行」といわれ、現在、証券化(セキュリタイゼーション)を担っている投資銀行は、まちがいなく「ユダヤ系」が多いということができるだろう。
た。
レイダーやグリーン・メーラーで有名な、アイヴァン・ボウスキー、配ヘンリー‐・クラビス、ロナルド・ペレルマンなどもユダヤ系投資家として知られている。
をスタインバーグは名うてのグリーン・メーラーとして知られ、アイカーンは石油会社の乗っ取りで名を馳せた。
ジエイコブズはバブスト社乗っ取りなどで注目を集め、ゴールドスミは、断スはナイトの称号を持つ英国人だが、ダイヤモンド・インターナショナル社の「ホワイト・章ナイト(救済者)」として登場し、最後は経営権を横取りしてしまった。
簾ボウスキーはウォール街で活躍し、オリバーストーン監督の映画『ウォール街』でマイケル・ダグラスが演じる強欲な投資家ゲッコーのモデルの一人となった人物だ。
ゲッコーのもう一人のモデルであるクラビスは、コールバーグやロバーツとともに、LBOと呼ばれる敵対的買収を得意とするKKRを設立し、LBOブームを巻き起こしている。
また、ペレルマンは、大手化粧品会社レブロンを買収して注目された。
もちろん、よく知られているように、ヘッジファンドの代表的な人物ジョージ・ソロスも、ハンガリー系のユダヤ移民だ。
彼は六九年、投資家たちからお金を集めてクォンタム・ファンドを立ち上げたが、その名を不朽にしたのは、九二年に英国のポンドに攻撃を仕掛けて巨額の利益をものにしたときだった。
当時、英国がEMS(ヨ−ロッパ通貨制度)に参加していたので、英国当局は為替市場において無理にポンドの高値を維持しようとしていた。
ソロスはこの矛盾を衝いてポンドを売り浴びせた。
ソロスが売り浴びせていると聞いて、ほかのヘッジファンドも相乗りしたので、とうとう英国には外貨がなくなり、為替レートを切り下げざるをえなくなった。
ソロスは、差額をまるまる手にした。
アイケングリーンという金融経済学者は、ある本のなかで「いま、ソロスに敵う通貨当局などない」し」まで述べている。
やはりヘッジファンドであるスタインハート・パートナーズを主宰しているマイケル・スタインハートも、ユダヤ系の投資家として知られている。
スタインハート・パートナーズは六七年に設立されたが、このとき一万ドルを預けていれば、二十数年後には百万ドルを超えている計算だという。
複利でほぼ年率二七%のパフォーマンスを実現していたのだ。
こうして見てくると、いま世界金融経済をリードする投資銀行の多くがユダヤ系、世界経済を動かしているM&Aの専門家たちもユダヤ系が目立ち、さらに国家の通貨当局をへこますヘッジファンドもユダヤ系が活躍しているということになる。
いまの金融市場で、ユダヤ系が「きわめて強い影響力をもっている」というのはまぎれもない客観的な事実である。
「彼らが支配している」といえるかどうかはまったく別だ。
「○○たちが支配している」という言い方には、一枚岩になって同じ目的を目指しているというニュアンスがある。
一枚岩でないことは、彼らがお互いに競争していることを見ればわかる。
たとえば、M&Aなどで敵対的買収を仕掛ける側につく投資銀行も、防衛する側につく投資銀行もユダヤ系であることは少なくない。
攻めるほうにゴールドマン・サックスが付き、守る側にベア・スターンズが付くというのは、ままあることなのだ。
八○年代、ジャンク債と呼ばれる評価が低い債権を使ってM&Aを行なう手口を考え出したのは、中堅投資銀行ドレクセル・バーナム・ランベール社にいたマイケル・ミルケンだった。
この手口が普及したお陰で、アメリカでは乱暴なTOB(敵対的買収)が横行した。
こうした乱暴な敵対的買収を阻止するために生まれたのが、有名なポイズンピルという防衛策で、この防衛策を編み出したのはマーティン・リプトンだった。
リプトンはハーバード・ワクテルなどと並び称されるウォール街の弁護士だ。
彼が編み出したポイズンピルとは、第三者割り当てなどによって急激に発行株数を増やすことができるように、あらかじめ会社の定款のなかに書き入れておく手法で、敵対的買収を企てる会社が現われたとき、この条項を発動させるわけである。
実は、ミルケンもリプトンもユダヤ系で、敵対的買収法を考え出したのもユダヤ系、その防止法を考案したのもユダヤ系ということになる。
ユダヤ系ならば常に同じことをして儲けようと考えているわけではない。
グリーン・メーラーのスタインバーグと、弁護士のリプトンは好敵手として知られているという。
金融の世界だけでなく、政治の世界においても、ごく限られた人たちが「支配している」という言い方はしばしばされているし、さらには、少数者が「陰で動かしている」という説はよく聞く。
少数者支配説は「パワー・エリート」論ともいわれ、この説はC・ライト・ミルズという社会学者によって唱えられた。
ミルズはエリートを構成する諸グループに属する人たちが、個人としてあるいは集団で、重大事項を決定していると主張した。
これに対して、ロバート・ダールという政治学者は、たんに権力をもつ人たちを並べただけでは、彼らが本当に共謀して「統治している」のかどうかはわからないと批判し、チェックするための基準を提示した。
もちろん完璧な基準ではないが、安っぽい陰謀説に引っかからないためには役に立つ。
以下、多少、理解しやすいように単純化してある。
のか。
やや抽象的でわかりにくいが、は、その集団がどれくらい他の人たちを排除しているかという問題だ。
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